ぶち、CDを出す。 その1

夢にまで見た初CDリリース!
これができるまでにずい分といろいろなことがあったなあ…。

スタジオの録音はプレイヤーがみな小部屋に隔離されて行う。
(大部屋で全員一緒に録音すると、1人間違えたら又全員やり直しになるのだ。)
それぞれがヘッドフォンをつけて他の人の音を聴くしくみ。ぶちもマイクロフォンの脇に置いてある、つまみがいくつかついた箱にジャックを差し込んでヘッドフォンをつける。
つまみは1番がベース、2番がピアノ…というように別々の楽器の音量が調節できるようになっているというのを知らなかったので、はじめは自分の声がよく聞こえず、やたらどなって歌っていたら、師匠に怒られた。

「こうやるんだよ」とエンジニアの広兼さんがつまみの調整をしてくれたら、とても気持ちよく歌えるようになった。

「じゃ、テストいきまーす」と言われると、トイレに行きたくなる。
テストが終わり、また行きたくなる。
「本番いきまーす」と言われるとまた。
「すみません!」「すみません!また行ってきます!」とみんなに謝っていたら師匠が
「大丈夫。大御所の宮沢(昭)さんだって、ステージ袖まで行くと『ちょっとゴメン』とよくトイレに行っていたんだから、新人なら当然だ。」とのたまった。少し安心した。

ベーシストのグレッグ・リーさんが1日目しか参加できないので、エレクトリックベースが入る曲をすべて録り終えなければならない。
歌が多少ダメでも、トリオさえちゃんと録れていればよい。歌の修正はあとでいくらでもできる、というところが“小部屋システム”のありがたさである。
始まってみると、ほとんどワンテイク(1発オッケー!)で録り終わってしまった。このメンバーなら当然か…。

2日目はアコースティックベースの加藤真ちゃんさん(そうぶちは呼んでいるの♪)で残り3曲のうち2曲があっと言う間に録り終わり、「え?もういいの?ほんとに?じゃ、お疲れサマーッ!」と山木さんと帰ってしまった。
最後は師匠とデュオで“Evening Snow”を録音。終わり。

休憩をはさみ、歌の修正に入る。
2日目はスタジオにも慣れて、トイレの回数も減り、「声もよく出てる」とみんなが言ってくれた。調子にのって歌い続けていたら、8曲目で突然スタミナ切れとなる。
食事をすれば回復するだろうと中華弁当をたいらげた(おいしかった!)ら、ますます声が出なくなった。
空腹に恐怖感をおぼえるのは犬だった頃のトラウマが尾を引いているのだろうが、こんなことでは“人間のヴォーカリスト”はつとまらないと痛く反省をするぶちであった。

思いつくままに書いていたらずい分と長くなってしまった。
まだまだエピソードはたくさんある。それはまた来月…。
ぶち